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横浜市鶴見区で腰痛・ヘルニアを専門とした鍼灸院、羅針堂鍼灸整体院からあなたへヘルニアについての様々な説明をしたいと思います。
ヘルニアは症状や状態によって治療や治療期間などは異なります。
それらを理解することで自分が今、どの状態にあるのか?どの手段を選べばいいのか?といったことが明確にわかると思います。
そんな辛いヘルニアで悩む多くの人に役立つ記事になれば幸いです。
ヘルニアの種類
ヘルニアは腰以外にも頸椎や胸椎に起こることもあり、その語源は脱出・突出という意味からきています。
そのヘルニアの状態も人によって異なり、3種類ほどございます。
①正常
繊維輪と言われる腰にあるクッションから中にある髄核が飛び出し、後ろの神経を圧迫することでしびれや激痛を起こすのがヘルニアです。
通常、この髄核は繊維輪の中に納まっているため特に症状を起こすことはありません。
②膨隆型
腰への負荷が高まることで髄核が耐えきれなくなり、中から外に出ようとします。
完全には出ていませんが、繊維輪は変形するので神経を圧迫し症状を起こしやすくなります。
③脱出型
中の髄核が完全に外に出てしまった状態になります。
脱出した髄核が神経を圧迫ししびれや激痛を引き起こします。
髄核は体内に吸収されることがありますが、そこに存在する限り症状を起こし続けるのが厄介です。
④遊離型
外に出た髄核が完全に繊維輪から離れ遊離した状態を指します。
遊離型はヘルニアの最終形態で重症度は1番高いものになります。
手術をして取り除くか上手く症状と付き合っていくかなので早めの受診が必要です。
以上3つの種類がヘルニアにはありますが、いずれも神経を圧迫する程度によって症状は異なりますので、自分がどの状態なのかを早急に知ることが大切です。
ヘルニアの人口・罹患率
ヘルニアの発症年齢は20~40代に多く、意外にも若い年代に多いとされています。
ただし、元々ヘルニアを持っていたが年を重ねた後に症状が出はじめるということは少なくないので、早めに自分の状態を把握する必要があります。
男女比は2~3:1で男性に多く、デスクワークがヘルニアの原因となっているという方が多くなっています。
他にも重い物を持つ職業の人や激しいスポーツをする方もヘルニアを発症する方は多くなっています。
総人口の1%がヘルニアの症状に苦しんでいると言われ、多くの方が手術に踏み切っているのが現状です。
症状がなくても約7割の人がMRIでヘルニアの所見があるとされていますので誰にでも起こりえる疾患と言っていいでしょう。
好発部位はL4-L5、L5-S1となっていて、この2つのヘルニアで全体の8割以上を占めていると言われています。
ヘルニアの検査方法
画像検査
レントゲン
最初に検査で用いられやすいのはX線、いわゆるレントゲンです。
しかし、レントゲンでは骨の状態しか見れないので椎間板がどうなっているのかなどは把握できません。
MRI
効率よくヘルニアの状態を把握できるのはMRI検査です。
MRIは骨以外にも靭帯、椎間板、筋肉などの細かい部分までの状態を把握できる検査です。
費用がレントゲンより少し高価なことや予約しないと受けれないところがあるのでご用心ください。
CT検査
CTは骨や神経の状態を立体的に把握できる検査になります。
ヘルニアに起こりやすい骨の棘があるか分かり、MRIやレントゲンよりも鮮明に状態を見ることができます。
簡易的な検査
SLRテスト
ヘルニアの簡易的な検査で最もポピュラーなのはこのSLRテストです。
仰向けの状態で膝を伸ばし、片足を持ち上げることで痛みやしびれがある場合はヘルニアを疑います。
他にも坐骨神経痛や脊柱管狭窄症やすべり症なども疑われる検査なので、あくまでも1つの指標と捉えると良いでしょう。
SLRテストが陽性の場合は足を上げたまま足首を返すブラガードテストも行われることが多くなっています。
ケンプテスト
立った状態で体幹を後外側に曲げたときに痛みやしびれの感じ方を見るテストです。
椎間板に圧を加えるテストであり、ヘルニアが内側にあるか外側にあるかを判断できるものでもあります。
反射テスト
腱の反射を用いて脊髄から返ってくる情報が正常にあるか確認するテストになります。
ヘルニアなどで脊髄に問題があると、反射は鈍くなり動きが起きづらくなります。
膝の下の腱に膝蓋腱がありますが、ここを叩くと足が少し上がる反応をみせます。
この動きが悪くなると、L3-L4腰椎のヘルニアが疑われます。
アキレス腱にも同じ反応があり、動きが鈍くなるとL5-S1腰椎のヘルニアが疑われます。
腰痛とヘルニアの違い
腰痛という大きなカテゴリーの中にヘルニアやぎっくり腰などの疾患が含まれますので、ヘルニアも腰痛の一部です。
一般的に腰痛と言われるものは筋肉の張りや痛みだけの症状が多く、筋・筋膜性腰痛と言われています。
ヘルニアはしびれや激痛が腰、もしくは足に出るところが特徴です。
ただし、発症してすぐの症状はぎっくり腰と同じような痛みを伴いますので鑑別が難しくなります。
違いがあるとすれば、ぎっくり腰は1~2週間程度で症状が軽減していくのに対し、ヘルニアは痛む期間が長引いてしまうことです。
早急な医療機関への受診が好ましいですが、症状の変化をよく観察することが自分でできる唯一の方法と言えるでしょう。
当鍼灸院でもどちらのパターンの患者さんがいらっしゃいますが、治療の回復過程に大きな変化があります。
ぎっくり腰は3~4回の治療で8割~9割の痛みを抑えることができます。
しかし、ヘルニアは痛みの回復が遅く激痛を引きずる傾向になり、次第に足のしびれを伴ってきます。
これは椎間板の圧迫により、神経が興奮した状態が続くことで炎症が起こり、炎症が治まるとしびれに変わるというメカニズムです。
どちらにしても早急な鑑別と治療は必要ですのですぐに行動することをおすすめします。
ヘルニアの鍼灸治療
ヘルニアに対して鍼灸はとても効果的な手段の1つです。マッサージや整体で届かない部位まで針で治療が可能ですし、ヘルニア特有の神経の延焼は鍼灸で抑えることが可能です。
現代、行われている鍼灸は色々な流派により、多種多様なやり方が全国で行われています。
それぞれに鍼灸の特性や東洋医学の観点からヘルニアに対して多方面からアプローチできることは、鍼灸の可能性を無限に感じられるところだと思います。
ここでは一番基本的な鍼灸の手技をヘルニアに絡めた視点でお伝えしたいと思います。あくまでも一つの手段としてお伝えしますので参考までに。
針とお灸
鍼灸はツボを刺激する手段であり、筋肉の柔軟性を高めることや血流をよくすることが主な作用となっております。
針とお灸は一緒に使うことも可能で、ヘルニアの治療の際に多く用いられる方法です。
灸頭鍼と言われる針の上にお灸を付けた手法があり、柔軟性と血流をよくする効果を同時に行うことができるため、神経の興奮を抑えることが期待できます。
カマヤミニなどの簡易的にできるお灸も針の近くに行うことで同様の効果を出すことが可能です。
針は張っているところに、お灸は冷えているところに行うのが一般的ですが、使い方によって様々な効果を期待できる手法です。
どのような目的で鍼灸を行っているのか聞いてみると自分の治療がわかりやすいかと思います。
パルス
パルス治療は針に電気を流し、筋肉を意図的に動かすことや神経に刺激を与えて興奮を抑える効果があります。
使い方によっては痛みだけに特化した設定や腫れを引かせるための設定などがあり、これも目的によって効果を変化させることができます。
ただし、刺激量としては強いものになりますので、鍼灸を初めて受ける方や刺激に弱い女性などは症状を悪化させる危険性があるので注意が必要です。
これも鍼灸師の技量や経験が症状の回復を左右しますので慎重に受けるといいと思います。
比較的、肩や腰などの大きな筋肉に対する刺激でしたら悪化することも少ないでしょう。
パイオネックス
パイオネックスはシール型の針で、先端に小さく細い針がついているものになります。
刺した感じもしなく持続的にツボを刺激していられるのが特徴です。
ヘルニアは神経に沿って痛みやしびれが出るため、ツボや神経の通り道にパイオネックスを行うことで症状の軽減が望めます。
他にもヘルニアの影響で張ってしまった筋肉に対してもアプローチができるのでコリの改善が期待できます。
パイオネックスは自分で扱うことも可能なので、セルフケアとして用いている方もたくさんいらっしゃいます。
ツボの場所は鍼灸師に確認して行うといいと思います。
ヘルニアの治療期間
ヘルニアの治療期間は人によって様々で一年以上かかってしまう方もいれば3か月くらいで症状が落ち着く方もいます。
私は鍼灸治療を行っているので病院の治療期間などはイマイチわかりませんが、そこでも治療期間は様々という意見を聞きます。
ここでは病院の治療法と鍼灸を使った治療法でのおおよその治療期間を説明していきたいと思います。
保存療法
手術はしたくないと考えて薬や自然治癒力に頼りたいという方も少なくないと思います。
では、この方法でどのくらいの期間を見ればいいのか?確実にこれとは言えませんが、ここでは1か月~1年程度と紹介したいと思います。
多いパターンとして発症して1ヵ月目は炎症が強い時期になりますので、痛みによって日常生活や仕事に支障をきたしやすいと言えます。
ただ、2~3か月目になると痛みが少しだけ落ち着き、しびれや機能障害が起こりやすくなってきます。それから回復に向かう人もいれば、症状を引きずってしまう人もいます。
ですので、3か月以降は症状の回復過程はバラバラと言っていいかと思います。
手術
ヘルニアの手術は1時間~1時間半程度で終わり、1週間ほどの入院が必要になります。
状態や症状にもよりますが、3か月程度はコルセットを付けるなどの安静が必要になり、激しい運動や腰に負荷をかける動作は避ける必要があります。
術後はリハビリが必要になり、理学療法士による歩行訓練や筋力トレーニングなどが1~2ヵ月続いて仕事復帰という形になります。
ただし、術後の再発率は低いわけではなく、手術の後遺症で腰痛を訴える人も少なくありません。
そこは自分の意志と状態を見て慎重に決めていく必要があると思います。
鍼灸治療
鍼灸を受ける患者さんは急にヘルニアを発症して激痛を訴えている人、手術したが後遺症が残って困っている人、若いころヘルニアを患って年を重ねてから症状が出始めた人などが多くなっています。
鍼灸も治療の段取りがあり、まずは神経の炎症を抑えることで痛みやしびれを軽減させることができます。
治療をはじめて1か月間はその炎症をとる期間で徐々に痛みやしびれが消失していきます。しかし、日常生活や仕事で腰に負荷をかけることが多い人は治療のこの期間が長くなる傾向で2~3か月引きずる場合もありますので注意してください。
次の行程として筋肉の張りや筋力低下を改善させることが大切で、神経の影響でヘルニアは腰回りの筋肉が張りやすいことや筋肉が萎縮することがあるため、鍼灸でこれらの症状に対応する必要があります。
筋肉の萎縮は放置していた期間が長ければ長いほど戻すのに時間がかかりますので早めの処置が大切です。
具体的には歩行の違和感やつま先を上げることができないなどの症状が現れます。
上記の症状が回復した後は再発予防に努めるといいと思います。
ヘルニアの再発率は比較的高く、数年間良くてもまたしびれだすといったことが多くなってきます。
当院では再発予防のために鍼灸を月に1回程度受けることで再発率を下げるということをアドバイスし、実際にさほど症状がない方でも来院されています。
症状が辛いときは週に1回の治療である程度の回復は望め、楽になってきたら2週3週と伸ばしていくとスムーズに回復していきます。
ただし、激痛が伴う場合は週に2回程度受けることで痛みを改善しやすくなりますので参考にしてください。
ヘルニアとストレッチ
激痛や強いしびれを感じているときはあまりお勧めしませんが、セルフケアでストレッチすることはヘルニアの症状を軽減させるのに有効です。
ストレッチは正しいフォームで適切ね場所を行うことが大切です。闇雲に伸ばせばいいと考えてやると症状を悪化させる危険性があるので注意してください。
特にヘルニアの神経症状は繊細のため、専門家にきちんとした説明を受けて行うことをおすすめします。
大腿四頭筋のストレッチ
いわゆるもも前のストレッチで、股関節の安定などに重要な筋肉を伸ばすものになります。
ヘルニアの場所によってはもも前に症状が出る場合が多いので、その際に有効なストレッチです。
もも前にじんわりと伸びている感覚があると効いている証拠になりますので是非お試しください。
ハムストリングスのストレッチ
ももの後ろのストレッチで、ヘルニアのしびれが出やすい箇所になるので効果的なストレッチです。
お尻からもも裏に大腿神経という太い神経が流れています。神経と筋肉の両方を伸ばす目的のストレッチで予防という観点でも用いるといいと思います。
お尻のストレッチ
お尻はヘルニアで痛みが最も出やすい部位と言えます。ここをストレッチすることでヘルニアの症状緩和、予防に効果があります。
腰を支える大切な筋肉で腰痛とも深いかかわりがあるため、腰の症状に多く使われます。
ストレッチはお風呂上りに行うことで柔軟性を高めることができます。
セルフケアの一環としてぜひお試しください。